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2013年07月08日

『福祉を廻る識者の声』57(桜井美国)

物語のある企業は強い             桜井美国
 平成の長期に亙る不況の下で企業は四苦八苦しています。景気はゆるやかに回復基調にあると経済企画庁から発表されていますが、実感はわきません。それでも過去最高の利益を計上している会社も出てきていますし、他方赤字続きの会社もあります。このように同じ業種でも業績に格段の差がついています。これは経営の仕方の問題かも知れませんが、私はある講演会で面白い事を聞きました。それは「物語のある会社は強い」という言葉でした。この講演での「物語」とはその会社の歴史の中で、他人に聞いて貰える出来事ということです。楽しい事もつらい事も数多くあるのですが、その中でも聞いている人に感動を与えられるような物語が語れる企業は正に強力だということです。当社(桜井グラフィックシステムズ)昨年五十周年を迎えました。五十年の間には数々のドラマがありました。昭和三十年代にいち早く海外へ進出した事、四十年代に起こった労働争議、五十年代の技術革新、六十年代から平成に入ってのめまぐるしい変化への対応など語る話はたくさんあります。
 今年四十周年を迎えられた新生会も、私が知るだけでも幾つものドラマがありました。多くは、苦しいものだったかもしれません。結核療養所時代の榛名荘に私も十八カ月御世話になりました。もう四十五年も前の事ですが、他の記憶よりも鮮明に思い出す事が出来ます。榛名荘創設以来この六十年間に生まれた数々の物語は戦前、戦後を通じて新生会の歴史そのものです。原理事長様は健康や生活に恵まれない人々に尽力されてこられましたが、語り尽くせないほどの物語をお持ちのはずです。近く榛名の地を訪問して原先生に物語を語って頂こうと思っています。

桜井美国(さくらいよしくに)。一九三四年、東京都生まれ。早稲田大学卒。㈱桜井グラフィックシステムズ代表取締役社長。新生会後援会副会長。新生会理事。          (平成九年・夏号)


懐かしさ                  (平成九年・夏号)
めぐり来て梅懐かしき匂いかな 石風
懐かしさとは、不思議な情緒だと思う。過去が懐かしいということはどういうことだろうか。鮭が放流した川に戻ってくるのは、匂いのためだという話を聞いたことがある。匂いは、人にとっても古い記憶の一つに違いない。詩人三好達治に
日本よ、海の中には母がいる。
フランスよ、母の中には海がある。
という意味の詩がある。フランス語では海も母もメールである。生命の発生の起源は海にあり、命を育む母の胎内のそれも海の成分に似ている。
 桜が丘三ホームは生まれたばかりである。設計者の建築家原公朗氏は時を経て成長できるような建物を設計の哲学としていると話していたが、その意を汲んで職員は手をかけ、想いを寄せたい。一途な愛の実践が懐かしさの源となる。
(翁)


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Posted by okina-ogi at 08:15│Comments(0)日常・雑感
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