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2014年04月23日

ただ人は情けあれ(2014年4月)

 京都で、同窓会があって、一人を除いて、三九年ぶりの再会ということになった。もう一生会う事もないと思っていた同窓生も多かったようだ。小学校、中学校、高校といった同窓会は地域性もあって開催されやすいし、集まりやすくもあるが、大学の同窓会は、なかなか企画されないものだ。
 


 会場になったのは、聖護院御殿荘という旅館である。会場の玄関は、お寺のようでもある。物故者もあって、開会の前に黙祷となった。同じゼミの友人も夫婦して亡くなっている。乾杯のご指名があって音頭をとることになった。理由は、遠方から来たということと、恰幅がいいという理由らしい。女性はそれほどではないが、男性は受付の時にも顔と名前が一致しない。
 近況報告ということになって、一七人の参加があり、一時間は超えた。三九年を五分で語るという事になれば、話は尽きないということになる。企業に勤めた者もあり、教師、公務員、自営業とさまざまであるが、地道に職業を全うし還暦を過ぎたという印象が強かった。それよりも、同志社人らしく新島精神が一人一人に流れているという感じを嬉しく思った。ゼミは違っていても、担当された先生の人格と思想によるのだろう。乾杯の時、ふと口に出て来た言葉が「ただ人は情けあれ」であった。
 昨年、恩師は喜寿を迎え、代々のゼミ生が集い、奥様とともに御祝いをさせていただいた。その時も、乾杯の役が回って来て、同じことを申し上げ酒杯を上げた思い出が残っている。室町時代に詠まれた歌で『閑吟集』の中にある。
 ただ人は情けあれ朝顔の花の上なる露の世に
恩師の好きな歌だが、情というものを人生の中で何よりも大事にしたいという事である。
「京都という土地は別に懐かしくないが、皆さま御一人御一人が懐かしい。はるか過去になったが、その時の心のふれあいが懐かしく感じさせる。その心の働きが情です」と言ってこの歌を引用した。そして最後に
「これからの皆さまの心の健康とご縁が益々深まることを願い乾杯致しましょう」
と言って、再会を祝した。
還暦を過ぎれば、病気にもなりやすく、体調を崩しやすくもなる。「ご健康を祈念して」などとは言いにくいのである。そうなったら、そうなったで、つきあっていくしかない。日々を前向きに生きる心の健康の方を願いたいと素直に思うのである。近く、また会う機会が訪れることを願いたい。ご縁が深まることを願うということである。
 幹事から提案があって、次回はいつにしましょうかというので挙手を求めたところ二年後ということになった。オリンピックのように四年に一度というのは、歳柄長過ぎるということだろう。遠方の者からすると、温泉旅館で一泊できるような企画が良いと言おうと思ったが、企画してくださる関西の次回幹事にお任せすることにした。ただ、新島襄ゆかりの地である群馬に住む卒業生としては、有志だけで、同窓会という事でなくても良いから、温泉地に宿泊して安中や伊香保を案内しても良いと思った。今日の宿泊は、ホテルではなく恩師の家である。二次会はない。久しぶりに会ったにしてはものたりなさも残ったが、体力的にも昔若かった時のような無理もできないのも事実である。
 「ただ人は情けあれ」についてである。情の大事さを繰り返し語った人物がいる。数学者の岡潔である。和歌山県橋本市役所前に昨年顕彰碑が建ち、そこに刻まれた碑に、
「日本民族は情の民族である。人と人との間によく心が通い合うし、人と自然との間にもよく心が通い合う。この心を情というのである。日本民族は情によってつながっているのである」とある。日本民族を同窓生に置き換えてみてもよい。心について学んだ心理学科の同窓生は同感してくれただろうか。


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