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2015年10月20日

鬼怒川温泉と日光(2015年10月)



 遠路の客が、突然怪我のために来られなくなった。世界遺産になった日光は、一度は見ておきたいという希望があったので、本人が一番残念に思っているだろう。鬼怒川温泉に連泊して、二日目の早朝、東照宮を案内しようと考えていた。何しろ紅葉の季節でもあり、修学旅行のシーズンでもある。多くの人出が予想される。
 せっかくの予約を変更するのも何となく、もったいない。他の友人を誘ったところ、一泊ならばという条件になった。移動手段は車にして、突然の誘いということもあり、交通費は無いことにした。鬼怒川温泉は、友人にとって魅力的だったらしい。若い時に泊まった記憶があり懐かしかったらしいが、宿泊客は様変わりしているようだ。老人は別だが、職場の団体旅行はめっきり減ったと指摘する。彼は、若いとき旅行社に勤めた経験がある。
 高崎(友人も同じ高崎在住)から鬼怒川温泉までは結構距離がある。高速道路を利用すれば速いが、急ぐ旅でもない。温泉に浸かり、あまり期待はしていないが、食事を味わい、お酒を楽しむという気晴らし旅行である。暮れには、鹿児島に行く計画があり、その打ち合わせも兼ねている。企画するのは、友人である。
 国道50号からみどり市を抜け、渡良瀬渓谷沿いを走り、足尾を抜けて日光に至る道である。人工湖である草木ダムの湖畔には、星野富弘美術館もあるが、寄り道はしない。日光や中禅寺湖も予定のコースには入れていない。混雑と階段や坂道を登ることを想定し、観光という目的はない。ただ、一つだけ付き合ってほしい場所があった。小杉放菴記念日光美術館である。輪王寺のある森の近くにあって市営美術館になっている。明治、大正、昭和にかけて活躍した画家だが、意外とその名は知られていない。そう思うのは、自分だけであって、近代美術史では、評価が高いのかも知れない。小杉放菴の名を知ったのは、『田端文士村』という本に紹介されていたからだ。ただ、放菴という名ではなく
未醒という名である。洋画家として出発した時の雅号で、本名は小杉国太郎という。父親は、国学者で日光二荒山神社の神官であった。
 小杉放菴に親近感を持ったのは、長男が小杉一雄だと知ったからである。小杉一雄は早稲田大学の名誉教授で、ちょっとしたご縁があって、原稿依頼をしたことがあった。「旅絵師」と題した軽妙な文章で、見事なスケッチとなっていて、人なりが滲み出ていた。小杉一雄も既に他界しているが、長男は、早稲田の教授で次男は画家となって、放菴の血を引き継いでいる。
 美術館の駐車場にたどり着くには、大変時間がかかった。神橋のあたりで渋滞になった。駐車場に入る車が多かったからである。ところが、美術館に入ったら入館者はほとんどいない。東照宮への参拝客が大半だったのである。企画展開催期間中ではあったが、ここでも小杉放菴が地味な存在だという印象がぬぐえない。美術館で小杉放菴の評伝のようなものがないかと尋ねると、単独で書かれたものは無いようである。小杉放菴を特集した美術雑誌を薦められて購入した。


 出光美術館が作品を多くコレクションしていることを知った。出光興業の創業者である出光佐三は、日章丸というタンカーの船長室に小杉方菴に依頼し絵を飾った。「天のうずめの命」という作品である。東京大学の安田講堂には、小杉放菴の描いた壁画があることで知られている。その下絵が美術館に展示されていた。「泉」という作品で、薄着を纏ったふくよかな女性が描かれている。色彩は柔らかく神話的である。日光東照宮を描いた作品もある。洋画、日本画も描いた小杉放菴の作品はゆっくり見てみたいと思った。装飾美が強調された、陽明門を始めとする東照宮の建物群を見るより価値があるとも思う。


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